何とか関空帰着

ウィーン中央駅から、ウィーン空港駅に向かうつもりが、Googleの案内に従っていたにもかかわらず、全くの逆方向のSt. Pölten(ザンクト・ペルテン)と言う駅に来てしまったのですが、この駅の親切な駅員さんのお陰で、やっと再びウィーン空港に折り返す電車に乗ることが出来、少しホッとしました。

しかしながら、空港駅に着いたのは飛行機の出発のほぼ30分前、荷物の預け入れ、保安検査等々の手続きを考えると、極めて厳しい状況です。空港駅から出発ロビーまで、重いスーツケースを引きずりながら小走りに駆け出しました。予定しているカタール航空のカウンターを尋ねようと案内デスクに行くと、出発便を調べて即刻、「その便は既にチェックインをクローズしています。」と厳しい宣告でした。そこを何とかならないか?と粘りましたが、我々は何も出来ない、第一ターミナルにある『乗客相談カウンター』で話すように、との事。案内デスクのある第三ターミナルから、そのカウンターまで急ぎました。しかし、5分程度かけて第一ターミナルまで移動したが、チェックインがクローズしていれば、既に航空会社のカウンターには人が居らず、そこから連絡用の電話をするしかない、との返事。結局、2つのターミナルを2,3往復し、その間も無情に時は経過し、最後には、「我々に出来る事は何も無い。この便に乗るのは不可能なので、別の便を取るなどするしかない」との最終宣告が下されました。

ガーンと頭を殴られたようなショックで、頭が真っ白になりました。チェックインタイムに間に合わず、飛行機に乗れないと言う事態は、歯学部学生時代から20数回の海外旅行歴の中でも経験した事の無い非常事態です。茫然自失もいいところで、おそらくヘナヘナと座り込んでいたのではないかと思う時間が流れました。頭の中では、下手すると、今日の別便が取れず、手近なホテルが取れなければ、空港で野宿するハメになるのでは、と悪夢も浮かびました。

しかし、そのままヘタりこんでいる訳にはいきません。何か行動を起こさなければ、と思い、頭に浮かんだのは、航空宇宙分野のエンジニアとして世界中を飛び回っている知人の事です。言わば海外旅行のプロであり、今もアメリカのヒューストンに出張中との事でした。まず、その知人に連絡を取ってみようと思い立ったのですが、携帯の電話番号を調べると、何と普段から親しくラインでの連絡で済ませているので、番号が分かりません。いや待てよ、ライン電話という手がある!と気がつき、とりあえず、ライン電話をかけました。「あ〜、松賀さん、どうされました〜?」と言ういつもののんびりした声が聞こえて来た時、まさに『地獄で仏』の気分でした。

これは、本当に究極的にラッキーだったのは、その時間、ヒューストンはちょうど朝の8時頃で、その知人はお仕事前で時間的に余裕のある時間帯だった事でした。こちらの緊急事態を聞いて、とりあえず、今日の時間的に近い便を探しましょう、との指示。少し時間を置いての折り返しで、出発国のオーストリア航空がやはり便が多いだろう。成田便が取れるかもしれない。あるいは、ANAか、もしくはトルコ航空が取れるかもしれないとの情報。後から聞いた話では、折り返しまでの間に、知人と、そのビジネスパートナーであるアメリカ人女性とで、手分けして、空き便を探して頂いたとか、感謝の言葉しかありません。

それだけの情報をもらった後は、私が動く番、オーストリア航空、トルコ航空とカウンターを回ると、幸運な事に、トルコ航空で4時間後の便に空きがあり、直ちに予約を取りました。このウィーン〜イスタンブール〜関空の便は、ややルートが短いのか、結局、元の予定していたカタール航空よりもわずか1時間半遅れで関空に到着する、と言う、本当に奇跡的とも言うべき幸運な結果となりました。

ヒューストンのお二人や、ザンクト・ペルテンの若い駅員さんを始め、この非力な個人旅行者がお世話になった方々に心からの感謝を申し上げたいと思います。

関空に帰着し、日本のコンビニでは、まず何はともあれ、お茶とおにぎりを食べ、帰宅直後には、『THE 和食』のメニューを食べ、改めて日本の落ち着ける状況に感謝感激でした。

以上で、結果的に7部構成になってしまった今回の波瀾万丈のウィーンツアー報告を終わります。

《追記》

ところで、今回の騒動に関連したSt. Pöltenと言う街がどんな所か、を後でAIで調べてみました。その回答によると、

「ウィーン中央駅からSt. Pölten駅までの距離は約55 kmです。特急列車を利用すると、最短で約29分で到着します。」

と言う答えでした。私が行くつもりだったのは、もちろんウィーン空港駅で、こちらについてAIは

「ウィーン中央駅からウィーン空港駅までの距離は約18 kmです。特急列車であるレイルジェットを利用すると所要時間は約15分です」との事です。

つまり、私は、15分で行けるはずだったところを、往復1時間もかかる逆方向の都市に行った訳です。しかもその駅での待ち時間が半時間位ありました。

ちなみにこのSt. Pöltenがどんな都市だったのかも聞いてみると、
「St. Pöltenはオーストリアの下オーストリア州の州都で、約55,000人の人口を有する都市です。歴史的には、ローマ時代の植民地「Aelium Cetium」が存在した場所であり、1159年に市の権利を与えられました。市の名前は、聖ヒッポリトスに由来しています。
この都市は、バロック様式と現代建築が融合した独特の景観を持ち、特に古い町並みや政府地区の現代的な建物が特徴です。文化的なイベントも多く、音楽やアートに関する活動が盛んです。主要な観光スポットには、歴史的な広場や美術館、音楽ホールが含まれます。
また、ウィーンからのアクセスも良好で、日帰り旅行の拠点としても人気があります。自然環境にも恵まれ、アウトドア活動を楽しむことができる場所でもあります」とAIはスラスラ答えてくれました。

投稿者:

matsuga_senior

《松賀正考》大阪大学外国語学部英語学科、歯学部卒業。明石市で松賀歯科開業。現シニア院長。 兵庫県立大学大学院会計研究科を卒業し会計専門修士。さらに同大大学院経済学研究科修士課程を卒業。その修士論文で国際公共経済学会の優秀論文賞を受賞。現在、博士課程在学中。