大小様々な経験をしたウィーンツアーも最終日になりました。帰国便はウィーン空港発15:45のカタール航空の予定でした。ホテルから空港までは、ほぼ30分かかると読んでいたので、ホテルを12:00に出れば大丈夫かな、と計算していました。(後から考えると、これでも甘かった)やはり出発予定があるので、朝から気を張っており、早めに目覚め、7時過ぎにはホテルのレストランの朝食に向かいました。この朝食のビュッフェがメニューも豊富で、味も美味しく、もっとホテルの食事を使えば良かったと後悔したほどでした。
ホテルの出発までの時間に、どこか一ヶ所でも観光に行くかどうか迷いましたが、既にほぼ満腹なほどに観光スポットは周った感覚もあり、体力的にも無理をしない方がいいとの判断で、ホテル出発までの時間は、部屋でゆっくりし、荷物の整理やブログの準備などで過ごしました。
いよいよ時間が来て、再び重いスーツケースを引きながら、ウィーン中央駅に向かいました。考えてみると、そもそも今回のホテルを選んだ最大の理由は、ウィーン中央駅から徒歩10分位というそのロケーションでした。空港からの往復もウィーン中央の駅なら便利だろうし、当初モーツァルト生誕の地ザルツブルクへの日帰りツアーも検討していたので、それにも便利だろうと言う考えでした。
しかし、前稿でも書いたように、入国の際は、何故か空港から直接でホテルへ来る事が出来ず、またウィーン市内だけでも見るべきスポットは十分あり、ザルツブルクツアーも実現しませんでした。したがって、この帰国の時に、初めてこのウィーン中央駅に来る事になったのでした。初めて見る中央駅は、極めて現代的な建物でちょっと親しみが湧かない感じがありました。
旅行の最後に初めて中央駅に入ると言う異和感もあり、やや緊張しながら駅構内に入りました。ここからはGoogleの案内を頼りに、その指示通りのプラットホームに上がります。空港行きの直通特急列車と思われる車両が着き、時間通りのその列車に乗り込みました。
違和感と微かな不安を覚え始めたのは、列車の出発から10分位経った頃でしょうか。Googleの案内では、この列車は、22分で空港駅に直行するはずでした。ところが、列車は、トンネルを潜ったり、郊外っぽい開けた風景の中を進んで行きます。慌ててGoogleの画面をチェックしましたが、空港駅に向かっているような画面に見えません。ふと気がつくと、「GPS信号がありません(5分前に失われました)」との表示が出ており、列車が空港駅に向かっている表示は出ていません。
本来なら空港駅に着いているはずの時間になっても、列車は、相変わらず郊外らしい景色の中を疾走しています。これは、明らかに空港駅に向かっていない!下手すると逆方向に進んでいる!そう思った瞬間、血の気が引き、冷や汗が出て来ました。乗客の何人かに英語で問いかけましたが、ドイツ語しか通じないようで、そのうちの一人は何と自分はハンガリー人だと答え、全く話が通じません。
しかし、今や事態は明らかです。Googleの指示通り、空港への直通特急に乗ったはずなのに、現在自分が乗っている列車は、反対方向に進んでおり、しかも、特急らしく、ほとんど駅には停まらない、と言う事です。自分が、今なすべき事は、とにかく次の停車駅で降りて、改めて引き返し、再び空港駅までの出来るだけ早い電車に乗るしかありません。
ハラハラ、ドキドキの時間が過ぎ、ようやく列車が停まりました。駅の標記は、『St. Pölten』と言うもので、もちろん初めて目にする駅名です。
しかし、駅がどこであれ、自分がすべき事は、ここで降り、再び空港駅までの列車で引き返す事だけです。急いで列車を降り、ホームから駅入り口方面に降り、サービスカウンターなどの相談窓口を探しましたが、それらしきものはありません。駅員らしき人を探し回り、ようやくオレンジ色のジャケットを着た駅員を見つけ、事情を話しました。もちろん英語は通じ、やはり私は、ウィーン中央駅から空港駅とは逆方向の特急で、このザンクト・ペルテンに来てしまった事、ウィーン空港まで折り返す特急がある事が分かりました。その時刻も調べてもらい、プラットホームも教えてくれ、そこで待つように、と言われました。この駅員さんは、20代らしい髭面の青年でしたが、その後も、何度も確認に来てくれ、大変親切な態度でした。
問題は、こんなに道草を食ってしまって、飛行機の時間に間に合うか、ですが、駅員さんは、その時間なら大丈夫じゃない?と、少しホッとさせてくれました。
(以下、次稿の記事にします)