令和6年(2024年)の新年明けましておめでとうございます。
今年の郵便年賀状をアップしておきます。
昨年後半、本ブログは、何と暑中見舞いから年賀状まで飛んでしまいましたが、実は、この間、いよいよ2つ目の大学院の卒業を今春に控え、修士論文の仕上げに集中しておりました。
私の大学院生活は、6年前の2018年春の兵庫県立大学大学院会計研究科から始まりました。ただ、(これは入学するまでよく理解していなかったのですが)この会計研究科は、その分野の研究者を育成する一般の大学院とは異なり、特定分野の高度な専門家を育てる事を目的とした専門研究大学院であり、2年間の修業年限の間、学部生時代と同じ位の密度で週日みっちりの講義があり、卒業必要単位も50単位と多いものでした(ちなみに、研究者養成の一般的大学院での必要単位は30単位程度)。
この会計研究科の2年間、密度の濃い講義の単位を取得し、最後は卒業レポートの提出で無事、卒業の運びとなって、会計分野の専門家として『会計専門修士』の資格を頂きました。
しかしながら、この大学院は、特定の専門分野の専門家を育成するコースであり、『修士論文』の作成は課されていません。
会計研究科を卒業後、さらに研究を深めるべく入った2つ目の大学院は同じ兵庫県立大学大学院の『経済学研究科』として、経済学を専門とする研究者を養成するコースでした。この研究者養成コースでは、受講すべき講義科目は約30単位とやや少なめですが、基本的に、それらの講義の受講も、最終的な『修士論文』のための研究テーマ探しとその論文を書き上げるための知識とデータを集める事が目的です。
つまり、この研究者養成大学院コースでは、最終的に、自らの研究テーマを見出し、それを各種の書籍・文献資料を参照しながら、自らの考えを展開し、一つの結論に至る論文にまとめる事がコース全体の最終目標となります。
私の場合、最初の会計研究科に入ったきっかけは、開業歯科医としての30年間、ようやく実用化し始めたパーソナルコンピュータを利用して、自ら会計帳簿を付け、税理士のアドバイスも受けながら、基本的に自主申告してきた経験からでした。そのような現役時代の長い経験から、会計処理や税務問題には長く関わって来ており、会計研究科を卒業した後は、自然な流れで、経済学研究科での税務問題の研究に入る事になり、そのような租税研究ゼミに所属しました。
別の稿(小動物の群れが巨大怪獣を倒した日)でも書いていますが、私は約40年前の日本初の実用的パソコンであるPC9800以来、常に新しいPCの世界を追いかけて来ており、その発展の歴史を文字通り我が身で体感してきました。その長い技術史の中でも、アップル社の革新性、独創性とセンスには本当に惚れ込み、今や伝説的カリスマと化した創業者スティーブ・ジョブズは、私にとってはヒーローでした。
ところが、ちょうど、この経済学科大学院に入った頃、そのアップル社が大規模な租税逃れをしており、EUにおいて裁判沙汰になっていると言うニュースが入って来ました。ただ、マスコミに断片的に流れるニュースでは、その詳細が分かりません。その経緯を調べて行くうちに、EUの裁判所で一審判決が出た事が分かりました。その詳細を知りたいと思い立った私は、ネット経由で、この判決の英語原文を入手しました。それは実に65ページにわたる長文でしたが、一応、外大英語科出身の肩書きを持つ意地もあり、その全文の翻訳に取り組む事にしました。そして、その判決文を読み込んで行くうちに、その問題は、単にアップル社にのみ関わる問題ではなく、GAFAと称される現代の代表的巨大IT企業を含む多くの多国籍国際企業に関わる重大な問題である事が、朧げながら見えて来ました。そして、これが最終的に、私の修士論文のテーマに繋がる事になったのでした。
そんな経緯から悪戦苦闘を続け、指導頂く担当教授からの厳しい助言を頂きつつ、最終的に、論文概要3ページ、本文60ページ、(アップルやアマゾンに関するEUの裁判の2つの判決文全訳を含む)添付資料192ページ、の総枚数257枚の修士論文が、昨年末ようやくまとまり、提出に漕ぎ着けたのでした。
その大まかな概要については、また次稿にしたいと思います。