ネット断絶トラブルから脱出して、ようやく、あえて重い玄関ドアとナゾの隠しドア付きのアパートメントホテルを選んだ最大のメリットとも言える徒歩圏のルーブル美術館に出かける朝になりました。ホテル周辺の飲食店の状況も少し分かってきて、割と朝早くから開いているカフェでモーニングセットを取りました。
しかし、クロワッサンとエスプレッソだけで、6.9ユーロ=920円余は円安のご時世とは言え、高いかなぁ。
パリの気候は、何と快晴の朝で14度、日中の最高気温も20度に届かない涼しさです。
今やルーブルの一つのシンボルにすらなっているガラスのピラミッドも建設から30年余り、建築計画の発表時から猛烈な批判と物議を醸した建物は、やはりクラシックな元宮殿の建物とのコントラストが極まっており、よくこんなデザインの建物を発案したなぁ、と思うものの、やはり極めて印象的でした。
しかし、午前9時の開館に合わせて到着しましたが、このピラミッド脇の入口の前には既に長々と続く長蛇の列。入場出来るまで1時間近くかかりました。
ようやく館内に入っても余りの規模の大きさに何処からスタートすればいいのかとモタモタしました。とりあえず、鑑賞コースと思われる所から見始めましたが、古代エジプトからのようで、この後、古代ギリシャ、ローマ時代、ヨーロッパ中世、ルネッサンス・・と続いて行けば膨大な作品の鑑賞コースは果てしなく続きそうです。
それにやっぱり、この時代は色彩が少なく地味です。そこで、まずガイドブックにあった『ルーブル美術館鑑賞必須3作品』をとりあえず見て回る方針に切り替えました。
世界的なコロナ禍による影響で観光客はかなりの減少をしている感じはしましたが、さすが『モナリザ』の前だけは、依然として格段の人混みでした。
それでもこれらの3大作品を見終わった時はほとんどお昼前になっていました。館内のカフェテリアで簡単なランチを済ませ、さらに午後からはルネッサンス以降近代に至る豪華絢爛たる絵画群と大理石が今にも動き出しそうなリアルな彫刻を見て回りました。
それらの無数の作品とは別に、このルーブルが元々宮殿であった由来を示すような豪華な装飾の部屋にも見惚れる思いでした。
その後、昨日の騒動の後だし、ゆっくりしようかと早めにホテルに戻りました。
一応、パリ滞在に関しては、何とか色んな問題をクリアして落ち着き、残りの3日間は普通の観光客として楽しめそうな見通しは立ちました。
さて、次の予定であるジュネーブに挑戦しようかと意気込んでみましたが、ホテルとジュネーブ駅との関係とかをネットで調べ始めて、ブリュッセルとパリのバタバタを考え、またこの繰り返しをやるのか、と思うと、急に意欲が萎えて来ました。
実は前日にもオランダ滞在中の知人とも電話でゆっくり相談していたのですが、パリの後のスイス・ジュネーブ、南仏のリヨンはキャンセルして、穏やかな滞在だったオランダ・ハーグに戻るプランも検討し始めていました。
それで、パリ=ハーグ間の新幹線タリスの便を調べてみると、何とか月曜の遅い便が取れるようで、やっぱりハーグに戻る方が気が楽かなぁ、と言う考えに傾いて来ました。
ところが、ここからまた一騒動が始まったのでした。パリ滞在予定の翌日のパリ=オランダ間の新幹線(Thalys)の予定を改めて調べてみると、この時点では何とほぼ全便がSold Outしており、チケットが取れるのは最終便のみだったのです。
オランダ滞在中の知人から聞こえて来た事情としては、パリの空港の管理運営会社でストライキが起きて飛行機の便が止まり、その客がどうやら新幹線の方に流れているようだ、との事でした。この新幹線Thalysのチケットが取れなければ、身動き出来ません。とりあえず、最終便であっても取らなければ、とやや焦りながら予約手続きを進めました。ところが手続きの最終段階のクレジットカード決済のところで、突然エラーが出て、決済出来ず、チケット予約が完了しないのです。何度も試みますが、上手くいきません。ひょっとしてクレジットカードに問題があるのか、と考え、手元の何枚かのカードをいくつも変えてみますが、同じように最終段階でエラーが出ます。
クレジットカードについては、このツアーの出発前、カード会社にわざわざ連絡を入れ、旅行先とスケジュールも伝え、くれぐれも決済に問題が出ないように、と念を押していました。ここまでのレストランやショップの決済では何の問題も起きなかったのですが、このようなネット予約の決済はやや異質で、異例な決済に関するセキュリティが働いたのかとも思いました。しかし、このカード決済らしき問題については、対応の術がありません。そうこうしているうちに夕食の時間も過ぎ始めました。しかし、この宙ぶらりんな状態で、近くのレストランに食事に行く気にもなりません。とりあえず、近くのマクドナルドでテイクアウトを買って来ました。食糧確保して一息ついて、再度新幹線予約にトライしました。するとどういう事情か、これまでの最終便よりも2便、2時間前の便に空きが出ています。何はともあれ、この便のチケットで予約手続きをしてみると、これまでのトラブルがウソのように、すんなりとカード決済も済み、予約が完了したのです。
さらにこのツアーの最初に泊まって勝手の分かっているハーグのホテルの予約にかかりました。トラブル続きだったBooking.comはもうコリゴリだったので、今度はExpediaと言う予約サイトで手続きを済ませ、ホッと一息つきました。
今回のツアーでの一連のトラブルを経験して、改めて感じたのは、現代社会において、ネットが極めて致命的な重要性を持つ手段になっているにも関わらず、その利用が時として状況的に余りにも脆弱で、多くのトラブルを引き起こす可能性があるという事です。