2泊目のグランプラスの夜は、週末のせいか0時を過ぎても広場には人出があり、賑やかな音が流れていました。ライトアップも何だかディスコティックな感じがしたのは気のせいでしょうか(笑)
真夜中にふと目を覚ますと、午前3時を回っていたのに、広場に人影があり、ライトアップも続いていました。
ブリュッセル1日観光で疲れ切っていた私はぐっすり眠り、また前日と同じ手作り朝食を食べて行動開始しました。
この日は、2泊したブリュッセルのホテルを引き上げて、次の予定地のパリに向かう事になっていたのですが一つ問題がありました。それは、ホテルのチェックアウトが11時であるのに、ブリュッセル南駅からパリへ向かう新幹線Tharysの出発時間が15時過ぎ、と4時間ほどの時間の空きがある事でした。
この時間を無駄に過ごすのももったいないとは言え、移動のための大きなスーツケースをガラガラ引きながら観光をするのは現実的とは言えません。そう言えば、このブリュッセルの道路は昔からの典型的な『石畳』であり凹凸が激しく、ハーグなど他の都市に比べても徒歩での移動はキツかった記憶があります。そこでネットで見つけた駅近くの「荷物一時預かり所」にスーツケース等を預けて何処か一か所でも観光する事にしました。パリでもそうでしたが、このような荷物預かりは専門の店ではなく、カフェやレストランが副業的にやっているケースが多いようです。そこで、ネットでブリュッセル駅近くのお店を予約し、Googleマップの案内で向かいました。しかし、どうしてもその店が見当たらず、周辺を半時間以上グルグル回るはめに。どうしても分からず、近くのカフェで訊ねると、何とそこが荷物預かりの店だと判明!
そんな小さなトラブルで時間とエネルギーを消費したため、観光スポットは1か所限定になりました。それで思いついたのが、ブリュッセルには欧州連合(EU)の議会や委員会等がある事。実は、私の大学院での研究テーマの出発点は、EU委員会がアイルランドとApple社の同国支店に出した租税回避の回復措置を命ずる裁定を巡る裁判でした。
もちろん、EU議会やその建物を見たところで直接に何の役に立つ訳ではないのですが、折角そのEUの機関があるのなら、ちょっとこの目で見てみようと言う程度の思い付きでした。しかし駅からその建物までの交通機関を探すのも面倒だし、と思い切って約半時間程度の道のりを歩く事にしました。
辿り着いたEU議会の建物は予想以上の巨大な規模の立派な建物で、ヨーロッパを中心に27ヶ国が加盟する経済的および政治的連合として総面積4,233,255.3平方キロメートル(世界第7位) で、総人口約4億4700万人(世界第3位)と言う巨大な連合国組織の実在を、実感させられるものでした。
出来れば、さらにEU委員会の建物も見てみたかったのですが、パリ行きの新幹線Tharysに乗り遅れては大変なので、途中通った公園内のオープンカフェで巨大なホットドッグをかじっただけで、そのままブリュッセル駅に戻り、今度は電車で一駅のブリュッセル南駅に1時間程度の余裕を持って戻れました。
しかし、朝から強い日差しの中の長時間の移動はかなり心身を消耗させるものだったようです。ブリュッセル南駅の構内の階段を登り降りしていて、ふと気がつくと、スーツケースの上に乗せていたセカンドバッグがありません。普段はスーツケースに括り付けるなどしていたのですがその時はぼんやりして乗せていただけなので、途中で巧妙に盗まれたようです。幸い、パスポートや現地通貨、主要なクレジットカードなどは、常時身につけているショルダーバッグに入れており、(海外現地では使わない日本円以外は)実害はそれほど無いと思われ、新幹線の時刻も迫っていたので、捜索は断念し、とりあえず新幹線に乗り込み、とにかくパリのターミナルの北駅に到着しました。
この駅から、ルーブル美術館近くのホテルまでも当然地下鉄の路線があり、それをうまく使えば簡単に着けるはずでしたが、これもえ〜い面倒だ、と約半時間の道のりをスーツケースを引きながら歩きました。
ところが、途中、何だか通りの街の雰囲気が少し変わり、道端で喋りながらたむろしているのが全て黒人の方ばかりの地域を通り抜けました。後で、現地に詳しい方から聞いたところでは、パリ北駅の周辺には大変治安の悪い地域があり、現地の人も暗くなってからは近づかないほど危険だとの事でした。またまた無知から来る蛮勇で冒険をした事に後で気づいて冷や汗を流した事でした。
この後、ホテルに着いてからも、後述のように、スーパーまでの往復など一日中歩き回ったので、この日の歩行数は、スマホの記録で何と2万歩を超えることになっていました。
さて、パリの夜の大ピンチが訪れたのはこの後の事です。
ブリュッセルでアパートメントホテルについては経験済みでしたから、今回のパリの同じアパートメントホテルについても要領は分かっているつもりでした。ホテルの建物内や部屋に入るためのセキュリティの情報はメールで届いていました。それらしい建物も見つかり、そのドア脇にはセキュリティ装置のボタンもあります。
メールで教えられた番号を押し、ドアを開けようとしましたが、ドアが開かないのです。何度も試しましたが、開きません。通りすがりの人の視線を気にしつつ、何度もトライしますが開きません。半時間も粘ったでしょうか。ちょうどその時、この建物に入る人が現れ、このドアをサッサと開けて入って行きます。その瞬間に私も便乗して、中に滑り込みました。(不正侵入ですが💦)
この種のアパートメントメントホテルには、日本の分譲マンションの中の数室をホテルとして運用しているようなケースがあるようで、その建物の住民も出入りしているようなのです。
やっと夕方の強い日差しと通り過ぎる人々の視線を逃れ、ひんやりとした建物内に何とか入り込めました。
ところが問題は未だ続きました。メールで送られて来た指示では、その後、『hidden door』があるから、そこを通るように、と書いてあります。『隠し戸』?またまた、探偵小説の世界に迷い込んだ気分です。玄関ホールの奥のあちこちを探しますが、『隠し戸』は分かりません。マゴマゴしていると、ちょうど住民らしい人が次々通り過ぎました。その何人目かの東洋系らしいオバさんが事情をよく知っているらしく、ここよ、と教えてくれました。
なるほど、こりゃパッと見じゃ分からんなぁ、と思うほど『隠された』ドアでした。
そこから2段の階段を上り
さらにホテル部屋のフロアに入るためのセキュリティを解除し、
ようやく辿り着いた部屋の前で、また3度目のセキュリティを解除し、
やっとホテルの部屋に入り込んだ時は、安堵のあまり倒れ込みそうな気分でした。
パリ北駅に着いたのが16:38、部屋に入った時間は18:30。何と2時間近くの難行苦行の果てでした💦
しかし、この日の大ピンチに追い込まれたのは、さらにこの後だったのです。
この6/29のアドベンチャーは未だ終わりません。既に十分な文字数を費やしたので、稿を改める事にします。