2022年2月2日と言う2並びの日、構想から40年近い紆余曲折のあった新しい大阪市の美術館が『大阪中之島美術館』としてオープンし、その初日に行ってみました。やはり、時代の流れで、ホームページの充実は当然、チケットの予約も時間帯指定でネットで取り、クレジットカード決済でした。
中之島は、意外に足の便が良く、神戸から電車でも1時間もかからず、やや人を驚かせる真っ黒な建物の美術館に到着しました。
入口の前には、何やら奇妙な人形的オブジェ、非日常的空間を予感させる雰囲気がして来ます。やはり難産の末に誕生した美術館への期待の大きさか、開館時間の10時ジャストに着いたのに、館内は既に長蛇の列でした。
大阪市でこの美術館構想が始まって以来40年近い歳月の間にコツコツ集められた作品数は6000点を越すとか、その内の約400点がオープン記念展として並んでおり、足を止めつつ会場を一巡するだけで、優に2時間が経過していました。ヘッドフォンでのオーディオガイドが用意されており、その音声を担当していたのは、何とあのNHKの朝ドラで大ヒットした『あまちゃん』で出演した能年玲奈さん(現在、〈のん〉に改名)でした。のんさんのオーディオガイドを聴きながら歩き回った会場は比較的オープンな感じで、作品の一部は写真撮影OKの大らかさでした。
中には極めて高額な名作も混じっているのに、展示は割と開放的で、ガラスケースもセキュリティ装置も無く、ごく間近に接近して鑑賞出来る形でした。おそらくこの美術館の目玉作品の一つと思われるモディリアーニの作品の一つは、帰宅後報道していたTV番組の解説によれば、購入時、20億円近い価格が当時話題になったようですが、現在、推定80億円とされているとの事です。しかしそれだけの高額な作品とは思えない位のオープンな展示に驚きました。
(なお、上の写真は、会場で撮ったものではなく、TV画面を撮影したものです💦)
なお、この作品を含むモディリアーニの作品展も4月に予定されているようです。
また、30歳の若さで夭折した大阪市出身の洋画家、佐伯祐三(北野高校、東京芸大を出て渡仏)の作品のコレクションもこの美術館の重要所蔵品の一部のようで、この美術館には代表作や重要作品を含む60点以上を所蔵しているようです。今回の展示の中にも有名な『郵便配達夫』など数点が展示されていました。
このような著名な作品の他、この美術館が所蔵している分野の多様さを感じさせる400点余りの豊富な展示を見終わった時は、見て回った足の疲れを感じるほどでした。
ところで、この新しくオープンした美術館が建設された中之島地区は、実は私にとって個人的にも極めて深い思い出の地でもあります。と言うのも、かつてこの地区には、阪大の本部と医・歯学部があり、それが現在の吹田キャンパスに移転した後のまさに跡地の一部に阪大中之島センターに隣接してこの美術館が建てられたのでした。
そして、この中之島地区にかつて存在していた古ぼけた歯学部棟で、私は4年間の歯学専門教育を受け、まさに青春時代を過ごした思い出の地でした。
美術館鑑賞の後、久しぶりに訪れた懐かしい思い出の中之島地区を歩き当時の思い出と感慨に耽る時を過ごしました。これは、稿を改めて、まとめたいと思います。