上高地から名古屋へ

今回、京都から上高地を回って、さらに名古屋に向かうのは、一つの目的がありました。実は、私が3年余り愛用して来たコンパクトな2ドアのボルボ(C30)を4ドアのボルボ(V40D)に乗り換える事にしたところ、その下取り価格が、ほとんど二束三文だったので、最近、静岡に転勤したシステム・エンジニアをしている娘に譲る事にしたのです。

ほとんどペーパードライバーに近かった娘が神戸まで車を取りに来るのは無理なので、私が静岡まで届ける事にしました。だから、私の愛車とのラスト・ドライブとして、京都・上高地、さらに名古屋の観光ツアーを計画しました。

ところで、名古屋と言えば、東京、大阪と並ぶ三大都市の一つとしての堂々たる経済的存在であり、名古屋城に象徴される徳川家のお膝下としての歴史の色も濃く、独特の名古屋弁等から来るローカルカラーなどの特徴も色々あります。しかし私にとっては、(大学勤務は別にして)30代初めの数年間、初めての本格的な社会人生活をスタートした、いわば青春の地であり、それまで基本的に関西圏、あるいは関西文化圏の中に育って来た人生で初めての新しい地域圏でした。
某地方都市での大学勤務をやめ、人生で初めて足を踏み入れる名古屋に向かう時のちょっと高揚した不安と期待が入り交じった気持ちは今も軽いトキメキを持って思い出せます。

実際、この名古屋地方で過ごした3年余りは、楽しく充実したものでした。それで、この久しぶりの名古屋訪問は懐かしい青春時代を振り返る思い出の旅の感もありました。

まず、娘に渡す予定の愛車の最終チェックを名古屋のボルボディーラーでして頂いたのですが、直前の電話で依頼した唐突なお願いだったにも関わらず、料金も受け取られず、丁寧で入念な点検を頂きました。おまけに、ちょうどイベントをしていたと言う多肉植物の鉢植えまで頂き、スタッフの柔らかい対応と親切な応接に、昔感じた名古屋の人々の嫌味の無い優しさを思い出しました。

宿泊予定の名古屋観光ホテルは、〈観光ホテル〉と言うローカルな雰囲気の名称とは異なり、名古屋を代表する堂々たる規模のシティホテルです。

実は、このホテルは、ちょうど40年前、私が結婚式を挙げた所で、その時、この玄関前で撮った歯学部時代の同級生たちとの記念写真と全く変わっていない光景に軽い感動を覚えました。

ついでに、恥ずかしながら、当時の記念写真のいくつかを。

(応援団出身の同級生の指揮で「寮歌斉唱」・・『昭和』の色が濃いですねぇ)

(さすがの私も緊張の面持ちでした💦)

今も、裏玄関のお洒落な外観やよく整えられた室内など、素敵な雰囲気はそのままでした。

その夜は、名古屋の名物食、いわゆる名古屋飯の代表の一つである『味噌煮込みうどん』を食べに、銘店の山本屋に向かいました。やはりコロナの影響で時短営業中でしたが、何とか時間に間に合い、疎らな来客の中で、久しぶりの名物料理を頂きました。

翌朝、娘との合流前の時間に、かつての懐かしい地を再訪する早朝ドライブをしました。

まず訪れたのは、名古屋での勤務先であった『三菱名古屋病院』です。久しぶりに訪れてみると、名称そのものが変更され、『重工記念病院』となっていました。当時から、三菱重工と言う大企業の運営する病院で、私は、最初この本院での数ヵ月の研修の後、現在では「三菱自動車」として独立した自動車製造部門のあった岡崎診療所、さらには、航空機製造拠点のあった小牧診療所へと転属になって2年間を過ごしました。初めて、ギャラン・ラムダという三菱車をローンを組んで購入したところ、三菱車に乗る条件で、毎月のガソリン代が病院から補填支給され、三菱グループの手厚い(やや過剰とも思える)福利厚生制度に驚いた事を記憶しています。今は懐かしい、遠い『昭和』時代の思い出です。

ただ、残念ながら、診療科の中からは、歯科は無くなっており、ちょっぴり寂しい気持ちがしました。

当時、親しくして頂き、一緒によく遊んで頂いた歯科の医局仲間です、懐かしい・・😂💦

その後、いくつかの思い出の残る地点を再訪し、早朝ドライブからホテルに戻りました。

その後、静岡から新幹線で来た娘と合流し、ホテルで朝食を摂りました。

ホテルを出た後、この10年程運転しておらず、文字通りのペーパードライバーだった娘に、車の扱いや簡単な運転教習をしながら、名古屋の市街を走りました。改めて感じたのは、道路幅のゆったりとした広さで、それが人々の穏やかな雰囲気とともに、名古屋での生活の記憶が、大都会でありながら、どことなくゆとりが感じられた要因の一つかな、と感じました。

昼食は、まさに名古屋名物の代表の一つである『鰻のひつまぶし』と決めていました。その銘店が『あつた蓬莱軒』で、実は《ひつまぶし》と言うのは、この店の登録商標のようです。ところが、小雨がぱらつき始めたお昼前、その店まで行ってみると、なんとお店前には、人が溢れており、90分待ち!との事です。日曜の昼という事もあったのでしょうが、このコロナ禍にあっても、伝統のブランドの強力さを感じました。

しかし、はるばる神戸からのロングドライブで再訪した名古屋の名物は、やはり味わっておきたいと思い、時間つぶしと腹ごなしを兼ねて、直ぐ近くの熱田神宮を訪れる事にしました。

神宮の本殿では、ちょうど神前結婚式の真っ最中でした。

境内に放飼いにされている鶏がマスコットのようで可愛かったです。

熱田神宮のマスコット鶏

さて、ようやく予約の時間が来て、待望の『ひつまぶし』を頂きました。さすが長い伝統に培われた味、文句のつけようの無いお味でした。

この後、浜松のボルボディーラーに寄って、今後のメンテナンスの依頼をし、ようやく静岡の目的地に到着した時には、神戸出発時にリセットしてゼロにしていたトリップメーターは、777kmを指していました💦神戸ー東京の525kmの1往復半を踏破した事になります。

帰りは当然新幹線🚅で、名古屋までのこだまでちょうど1時間、名古屋ー新神戸は〈のぞみ〉で約1時間少しでした。正味2:04の新幹線の圧倒的速さには改めて感心します。コロナのお陰で車内は空いていましたし、全然楽でした。

投稿者:

matsuga_senior

《松賀正考》大阪大学外国語学部英語学科、歯学部卒業。明石市で松賀歯科開業。現シニア院長。 兵庫県立大学大学院会計研究科を卒業し会計専門修士。さらに同大大学院経済学研究科修士課程を卒業。その修士論文で国際公共経済学会の優秀論文賞を受賞。現在、博士課程在学中。