欧米流アカウンティング=スクール

今回私が入学させていただいた大学院ですが、実際にコースが始まって詳しい情報が分かってみると、どうも、この大学院は単なる大学院ではなく、会計学の専門家を育てる『専門職大学院』であることが分かってきました。

しかも、このような<会計修士(専門職)>の資格を得られる大学院は、全国の国公立大学の中でも、北大、東北大とこの県立大の3校のみと言う大変スペシャルなコースだったのです(何たる不明!)。欧米では法律の専門家を育てるロースクール(法律専門職大学院)と並ぶ位置付けを持つアカウンティング=スクールに相当するようです。

( 広々としたキャンパス中心部)

机を並べるクラスメートの方々のお話を聞くと、ほとんどの方が公認会計士や税理士あるいは会計分野の公務員などの専門職を目指されている方々です。しかも、オリエンテーション等を通して分かってきたことですが、この大学院の所定のコースを無事修了できれば、公認会計士試験の短答式試験(一次試験)の4科目中3科目が免除されるというレベルの高いコースであることが分かってきました。クラスメートの目は真剣です。呑気な立場の私だけが遊び半分では皆さんに失礼だし、ご迷惑になりかねません。しっかり勉強して皆さんについていきたいと思います。

私は阪大歯学部に入り歯科の世界に踏み込む前に、大阪外語大 (現 阪大外国語学部)を卒業しており、歯学部時代は文系からの転進を珍しがられましたが、今回は再びの大転進で、社会系分野を学ぶ3度目のキャンパス=ライフになります。しかし、私が青年時代を送った外大と阪大の学生生活は早くに親を亡くし、資産も無い中での苦学生でアルバイトまみれの毎日でした。今回は時間はふんだんにあり、参考書を買う程度の資金には困りません。元来、文系頭と自覚しているので、レポートや論文をまとめるような作業は全く苦になりません。種々の状況を考えるうちに、これは一度本気で取り組んでみようか、という気持ちが沸いてきました。

オリエンテーションを通じて改めて現在の大学生活が、いかにIT化しているかということを感じましたが、これも私には嬉しいことです。私の歯学部卒業の数年後、日本初のパーソナル=コンピュータであるNECの9801が発売されました。当時はIBMなどのメインフレームと呼ばれる巨大なコンピュータが大きな顔をして、空調の効いた電算室に鎮座しており、コンピュータは、電算室技術者という神官が恭しく取り次いでくれる近寄りがたい雲の上の存在でした。

そんな状況の中、発売された初のパーソナル=ユースのコンピュータは、コンピュータ=パワーに憧れていた当時の電気オタクの熱狂的な歓迎を受けたのです。その一人だった私は、当時の熱気を今も覚えています。最初はマイカーにならってマイコンと呼ばれた個人向けデスクトップ型コンピュータは、やがてパーソナル=ユースのコンピュータとしてパソコンという呼称が定着して今に至ります。

当時の熱心なパソコンオタクは次々発売される新しいスペックの新製品に胸踊らせ、これから展開され実現されるであろう個人ベースのコンピュータの世界に夢を描き次々に創刊されるパソコン雑誌を読み漁り、日曜毎の日本橋、秋葉原詣でが楽しいレジャーでした。私もその一人で現在の院長の長男を含む家族を連れて日本橋詣でを繰り返し家族を何時間も車で待たせたものでした。

そんなパソコンが社会に初めて登場した頃からの長い付き合いの思い出話はまた別の機会として、歯科医仲間のうちでは私のIT好きはそれなりに珍重され、県の歯科医師会での情報分野の担当役員を務めたこともあります。そもそも、私が会計分野に興味を持つきっかけとなったのも、国産初のパソコンとセットで、これまた当時出たばかりの会計ソフトとを合わせて100万円を超える投資をし、自力での会計•決算に挑戦したことからでした。以来30年以上にわたり医院会計は自力で決算して来ました。したがって現在の大学でITが活用され活躍していることは大歓迎です。

( 院生各自のデスクと貸与PC )

この大学院ではノートPCは各自に貸与され、インターネットおよび学内のイントラネット環境が整備され、履修届に始まり休講や補講の連絡等、すべてネット経由です。クラス内の連絡網として、LINEのグループが作られ、学生間の連絡もネット経由です。私もクラスのメンバーの一人として、LINEにも登録しました。

 (新しいクラスの若い仲間たち)

これ以外にも、少人数での相互的教育が行われるゼミナールでも、レポートの提出や研究発表のプレゼン等にIT技術はふんだんに活用されていく感じで、おそらく現代の大学生や大学院生にとって、ITやネットが使えないのでは、まずスタートラインに立てないのではないかと思われます。

iPhoneやiPadの利用から、徐々にMac回帰を始めている自分にとって、文書編集のPagesや表計算のNumbers、プレゼンテーションのKeynoteの出番が来そうで、楽しみです。

以上、どう考えても、現在の私には診療と雑務に追われる開業医生活よりも大学での研究生活の方が向いているように思われてなりません。息子がこのタイミングで院長交代を受け入れてくれたのを幸いに人生の大転換と新しい挑戦を楽しみたいと思います。

この記事をお読みの学生さんやその親御さんに是非お伝えしたいと思います。これからの厳しい競争社会を生き抜く上で何らかの専門的資格を持つことは、きわめて大きな武器になります。会計分野での専門職や資格取得を目指すのであれば、この大学院は大変充実した施設・環境を備え手厚い教育体制を整えています。未だそれほど広く認知されていない今がチャンスで、狙い目です。是非、将来の選択肢の一つに加えて検討されることをお勧めします。

そして、退職金も入り時間も持て余すほど余裕のあるシニアの皆さん、何か現実社会とつながった目標を持ちませんか。いくつになっても新しい挑戦はワクワクして楽しいものです。夢中になって取り組んでいると生活も自然と規則的になり、それはきっと健康寿命を延ばすことにつながると思います。

これからも新しい楽しい経験の報告が出来るよう、頑張りたいと思います。

松賀歯科医院  シニア院長
松賀 正考

投稿者:

matsuga_senior

《松賀正考》大阪大学外国語学部英語学科、歯学部卒業。明石市で松賀歯科開業。現シニア院長。 兵庫県立大学大学院会計研究科を卒業し会計専門修士。さらに同大大学院経済学研究科修士課程を卒業。その修士論文で国際公共経済学会の優秀論文賞を受賞。現在、博士課程在学中。