<現役時代の旧ホームページからの移植です>(2001.12.1 分)
日本歯科評論 THE NIPPON Dental Review Vol.61No.12(2001 12) P.60-61 掲載
その(2)
電子会議室システム(FCIS)の活用
予想外の活用が進んだのは,③の電子会議室シス テムである.携帯電話によるメールの普及もあって, 電子メールはごくありふれた日常的道具になりつつ あるのに対し,電子会議室システムはまだなじみの 薄い方も多いかもしれない.名前はやや仰々しいが, 実際に利用すればすぐわかるように,それは単に電 子メールの複合システムに過ぎず,それほど身構え るほどのものではない.通常の電子メールでのメッ セージのやり取りでは,個人用の郵便受けがあり, そこに自分宛てのメッセージが届くのに対し,電子 会議室システムでは,個人用のポスト以外に,自分 の関係するグループ全体に届くメッセージ箱がある, と考えればよい
ホームページを見るのに閲覧用のソフトを使い, 電子メールのやり取りにメール送受信ソフトを利用 するように,電子会議室システムを利用するために は,専用のソフトを利用する.このソフトを便って 接続すると,筆者の場合でいえば,『兵庫県歯情報調 査室』『明石市歯情報ネットワーク委員会』等々の20 数個の会議室が現れる.会議室に新しいメッセージ が入っていると,それを知らせる表示がある.それ らを読み,必要があれば返信を書く.これらのメッ セージはすべて会議室に参加しているメンバー全員 に届けられる.このようなグループでのメッセージ 交換システムが「電子会議室システム」である.
グループでの利用という視点から「グループウェ ア」と呼ばれたり,それらがグループ関係者への掲 示板のような機能を持っていることから「BBS (Bulletin Board System)掲示板システム」と呼 ばれたりする.ビジネス分野で便われるものを「グ ループウェア」,趣味的に使われるものを「BBS」と 呼ぶことが多いが,本質的には同じような機能を持 つものである.
兵庫県歯では,FCIS(FirstClass lntranet System) というシステムを利用している.このシステムは 兵庫県歯での予備的実験を踏まえ日歯でも採用されて おり他府県の歯科関係組織や大学,大学同窓会,医科 のグループ等でも活用されていると聞く.
①県民向けホームページ,②県歯会員専用の情報提 供システム(イントラネット)はいずれも基本的に いわゆるホームページ形式による情報伝達であり, 組織(担当者)側からの,どちらかといえばく一方 向的>情報伝達であるのに対し,③の連絡用電子会 議室システムは組織の構成メンバー同上が連絡を取 り合い,情報を共有し合うためのく双方向的>情報 伝達のシステムである. このあたりのシステムの使い分けはなかなか難し い面があるのだが,当然のことながら,それぞれの システムの特徴に応じて,利用の仕方が明らかに異 なっており,そのシステムに応じた適切な利用法を きちんと整理し,そのシステムにふさわしい使い方 を明確にしておく必要がある.電子会議室システム の利用が効果的なのは,明確な任務や役割を持つ具 体的な組織内の連絡と情報共有である.
兵庫県歯では,このシステムを基本的に各種委員 会等の連絡システムとして位置づけた.そして,ま ず「率先垂範」として,これらのシステムを立ち上 げた情報調査室での連絡システムとして利用を始め た.組織内での連絡システムとして利用する以上, 全員が参加しなければならない.幸い,その時点で, 委員会メンバーは全員パソコンを所有しており,イ ンターネット接続をしていたので,問題はなかった. 担当役員の方々にも若手ができるだけアシストし て,少なくともメッセージに目を通すことだけは最 低限できるように努力していただいた.これで,こ の会議室上で行われる連絡,協議,結論はオフィシ ャルな性格を特つものとなった.
FCISの大きな特徴の一つとして,ヒストリー(履 歴)機能というものがあり,自分が発信したメッセ ージが,何時,誰に読まれたか,という記録が直ち に確認できるという機能かおる.これは通常の電子 メールにはない機能であり,このような組織内での 情報の伝達においては不可欠な機能といえる.着 信・閲覧が確認できることによって,重要な情報の 伝達状況が常に確認できるからである.
このようにして,情報調査室では24時間委員 会が開かれる形となり,各人が都合のいい時間に 必要な情報の授受ができ,メンバーの時間的・経貧 的負担をかけずに,業務が効率的に進められる体制 ができた.情報調査室でのネットワーク活用の状況 が周囲に伝わるにつれ,他の委員会や郡市区会等で も,同システム上にそれぞれ独立した会議室を開い て,それぞれの組織での利用が進められる状況が 徐々に進んでいった.